気象庁が計測を開始した1910年から比較すると、当時に比べて猛暑日は３倍以上に増加しています。近年では、熱中症予防に対する意識も上がり、ワークウエアも同様に熱中症対策に特化したものへと進化を遂げています。そこで今回は、氷を利用したエコなワークウエア「アイスベスト」について紹介します。

アイスベストとは？

「アイスベスト」とは、その名の通り「氷」を使用することで身体を冷やすワークウエアです。ベストタイプのため、普段着用されている作業着の下に着用してもかさばらず、煩わしさがありません。

電気を使わず繰り返し使うことができるサスティナブルな「アイスベスト」について、以下からご紹介します。

新登場の熱中症対策ウエア

新しい熱中症対策ウエアとして登場した「アイスベスト」は、脇や背中などの太い血管が通る部分を冷やすことで、効率的に体を冷やせます。熱中症は、放置すると死に至ることもある危険な症状です。。

炎天下での作業や、冷房のない室内での作業などは、熱中症リスクが高いため、「アイスベスト」などの熱中症対策ウエアを活用することが大切です。

バッテリーを使わないから簡単！

バッテリーを使用することでウエア内に空気を循環させる空調服（ファン付きウェア）や、ウエア内にあるチューブの中を水が循環することで身体を冷やす「水冷服」など、過酷な夏の暑さに対応した強力なワークウエアも登場しています。

スマートフォンのモバイルバッテリーとしても使用されている「リチウムイオンバッテリー」を登載し電気の力を利用したさまざまなワークウエアが登場する中で、「アイスベスト」は氷を使用したシンプルな構造です。

事前準備に必要なものは、保冷剤を凍らせておくことだけ。操作も必要ありません。

また、バッテリーを使用しないため、電子機器を身につけることに抵抗がある方にも安心です。

場所を選ばずに使用できる

空調服（ファン付きウェア）のように、空気を取り入れることで身体を冷やすワークウエアは、使用する場所に限りがあります。風が起きてしまうため、粉塵や火気を扱う現場には不向きです。

また、ファン稼働時の大きな音を懸念して、購入を断念せざるを得ない方も少なくありません。

一方で、「アイスベスト」は、凍らせた保冷剤をベストの内側のポケットに入れるだけで身体を冷やすことができます。簡単でありながら、氷を利用するため強力な涼しさを体感することができます。

専用の保冷剤で涼しさ続く

いくつかの作業服メーカーから登場している「アイスベスト」には、それぞれ専用の保冷剤が存在します。

製品により異なりますが、30度の暑さの中でも３?5時間ほど保冷効果が持続します。同じメーカーの空調服（ファン付きウェア）にも装着することができるタイプや、食品添加物を使用し、焼却処分が可能な環境に配慮された製品もあります。

また、「アイトス」や「桑和」の保冷剤は多層構造の断熱シートを使用しているため、40度の過酷な暑さでも保冷時間が約４時間持続します。

アイスベストの選び方

さまざまなメーカーから登場している「アイスベスト」ですが、個体により形や性能はさまざまです。ご自身に合ったアイスベストを選ぶためのポイントをいくつか紹介します。

素材や形で選ぶ

「アイスベスト」は、名前の通りベストタイプになっています。

作業着メーカーとしても人気の高い「アイトス」や「バートル」、「桑和」から出ているアイスベストは、フロントがバックルタイプになっており、作業着への干渉が少なくなっています。

素材は、通気性のいいメッシュタイプでインナーの上に着用しても違和感がありません。ストレッチ性が高いため、着脱時のストレスが少ないです。汗をかきやすい脇部分にデオドラントテープが使用されている製品や、消臭効果のある素材を使用した「アイスベスト」も。

その他にも、2022年1月から義務化されたフルハーネスに対応した製品も登場。

ご自身のワークスタイルに合わせた素材や形で選ぶことができます。

収納出来る保冷剤の数で選ぶ

アイスベストの内側には、保冷剤を収納するポケットがついています。

多いものだと5個、少ないものだと2個など、メーカーによって収納出来る保冷剤の数は異なりますが、保冷剤を3?4個使用するアイスベストが平均的です。

着用時の重さや保冷持続時間の長さを考慮し、ご自身に合った「アイスベスト」を選ぶことをおすすめします。

着用時の注意点

保冷剤を使用して直接身体を冷やすアイスベスト。

過酷な夏の暑さから身体を守ってくれる優れものですが、着用時にはいくつか注意点があります。

衣類の上から着用する

「アイスベスト」を着用する際は、必ず衣類の上から着用しましょう。地肌に着用すると、凍傷になる危険性があります。

近年では、接触冷感のインナーやコンプレッションシャツも登場しています。冷却効果を高めながら肌を守ることが可能です。

同じ場所を長時間冷やさない

主な作業着メーカーで販売されている保冷剤は、断熱材を使用することで冷やし過ぎを防ぐ仕様になっていますが、灼熱感や痺れを感じるなど異常が確認された場合には使用を中断しましょう。

また、アイスベスト用ではない保冷剤を使用することは、冷えすぎなどを引き起こす可能性があり、危険です。必ず専用の保冷剤を使用するようにしましょう。

おすすめのアイスベスト

さまざまなメーカーから「アイスベスト」が登場しています。ベストの素材や、保冷剤の性能など、ご自身のワークスタイルに合ったアイスベストを見つけることができます。

ここからは、おすすめのアイスベストを始め、保冷剤を装着して着用するコンプレッションウエアなどを数点、ご紹介します。

[バートル] AC350S フリーザーベストアイスパックセット

普段使いもできるかっこいい作業着で人気を博す「バートル」のアイスベストは、伸縮性の強いストレッチメッシュ素材を採用しています。保冷剤は、両脇と背中の三ヶ所に装着が可能。専用の保冷剤は、8℃以下を約４時間持続します。ベストと保冷剤がセットになった商品です。

[HOOH] 288 クーリングベスト

付属の5つの保冷剤で、リンパを冷やし効果的に身体を冷やすことができるクーリングベスト。保冷剤を収納するポケット部分は、吸汗速乾素材を使用しているため、清潔です。

また、消臭素材を使用し、夏場の気になる臭いにも対応しています。カラーバリエーションは、ブラックの他にホワイトも登場。

[HOOH] 289 コンプレッションインナーベスト

ストレッチ性のある素材を使用したベストです。背中部分に別売りの保冷剤を収納出来るポケットがついています。

吸汗速乾素材を採用し、消臭テープ付きのため気になる臭いをカット、快適に使用することができます。

[桑和] 80036 メッシュベスト（保冷剤3個付き）

フロントはファスナータイプに加え、マジックテープを利用し体型に合わせた調整が可能です。

専用の３つの保冷剤は、30度の環境下で最大４時間保冷が持続。両脇と背中に装着することで、効率的に身体を冷やすことができます。

[桑和] 80056 保冷剤ベスト(保冷剤3個付き)

フロントにバックルが2ヶ所ついていることにより、フィット感がアップ。ループが付いているため、余ったベルトを収納することができ、煩わしさがありません。

消臭加工に加え、デオドラントテープで気になる臭いにも対応。サイズは、フリーサイズの他に胸囲120までをカバーできるXLもあります。

[桑和] 80046 マルチポケットメッシュベスト

夏場にアイスベストとしてだけではなく、冬にはカイロを入れることで身体を温めてくれるマルチベスト。

別売りの保冷剤やカイロを収納するポケットは、両脇部分と背中の3ヶ所にあります。夏だけではなく、冬にも活躍してくれるのが魅力です。

[アタックベース] 007 風神ベストポケットプラス

フルハーネス向けのインナーベストです。強力なマジックテープで、着脱が簡単なだけでなく、着用時のズレが少なく違和感を感じにくいです。

別売りの保冷剤を収納するためのポケットが両脇と背中部分に3ヶ所あります。首を守るための保護メッシュ付き。

3層メッシュ構造のため、通気性がよくハーネスを上からつけても風が通るため、暑い夏に最適です。

[アイズフロンティア] 108 コールドパックポケット付きコンプレッションシャツ

コンプレッションシャツでありながら、背中と両脇に保冷剤を入れることが可能です。

サイズはM?3Lまでの4展開。特殊な糸で作られた接触冷感は、一般標準の約1.75倍の涼しさを実現。

ベストタイプには抵抗のある方はこちらがおすすめです。

[アイズフロンティア] 109 コールドパックポケット付きフルジップコンプレッション

保冷剤を収納できるポケットがついたフルジップタイプの冷感コンプレッションシャツは業界初。

高いストレッチ性で、快適な着心地です。脇部分にはメッシュ素材を使用しているため、快適に着用していただけます。

ナイロン素材のため、シワになりにくく速乾性があります。

[クロダルマ] 26871 ウォータークーリングベスト

こちらの商品は、保冷剤を使用せず、水により気化熱を利用し冷却するウォータークーリングベストです。

特殊な繊維BELL OASISRの優れた保水性により素早く吸水、圧を加えても水分を逃しません。

また、気化熱を効率よく発生させる三種類の糸を独自開発。水で濡らして絞るだけで冷却する優れものです。

より快適に過ごすために

アイスベストにプラスすることでさらに快適に夏を過ごすためのアイテムをご紹介します。

長時間使用するなら保冷剤の追加購入がおすすめ

多層の断熱シートなどを採用したアイスベスト専用の保冷剤は、30～40度の過酷な暑さの中でも３?5時間と比較的長い時間、保冷状態を持続します。

しかし、屋外での長時間の労働の場合、保冷持続時間が足りないと感じる場合も。専用の保冷剤は、個別でも購入することができるため、追加購入をお勧めします。

また、保冷剤を凍らせる時間の確保が難しいという方にも、予備の保冷剤があると安心です。

空調服と組み合わせてさらに涼しく！

風を取り込むことで気化熱を発生させ、身体を冷やす空調服（ファン付きウェア）。その中に、アイスベストを着用することで、涼しさはさらに倍増します。ここからは、おすすめの空調服（ファン付きウェア）を3点ご紹介します。

[バートル] AC1151 エアークラフトタクティカルブルゾン

フルハーネスに対応したバートルの空調服（ファン付きウェア）です。アルミコーティングを施した衣服内は、未加工製品に比べて-9℃の遮熱効果があります。用途に合わせて着脱可能な大型フード付き。

レディース対応のシルエットであるSサイズから、ユニセックスで使える3XLまで幅広いサイズ展開です。衿には、アイスベストと同様の専用保冷剤を収納できるポケット付き。

色は、ブラックを始め、ミルスグリーン、アッシュグレーなど着る人を選ばないベーシックなカラーバリエーションのほか、目を引くグレイカモも。バッテリー、ファン、ケーブルは別売りです。

[GLADIATOR] G-7709 ボルトクール　日傘遮熱　風ダウンベスト

ベストタイプの空調服（ファン付きウェア）です。肩周りに煩わしさがなく、快適に作業することができます。

ダウンのように表面に凹凸があるため、ファンで衣服が膨らんでも違和感のない独自機能「風ダウン」を採用。肩部分には、チタンコーティングが施されているため、紫外線赤外線をカットします。

SSサイズから、5Lまで幅広いサイズ展開。SSサイズとSサイズは女性用シルエットです。バッテリー、ファン、ケーブルは別売りです。

自重堂 [JAWIN] 54180 空調服 ベスト

光沢感のある素材が印象的なベストタイプの空調服（ファン付きウェア）です。保冷剤を収納できるメッシュポケットが背中に3ヶ所ついています。遮熱加工、UVカット加工が施されています。

襟付きのため首元まで日焼け対策にも最適です。カラーバリエーションは、ブラックとライトベージュの２色展開。サイズは、SS～5Lまで幅広くカバーしています。

まとめ

今回は、新登場の熱中症対策ウエア「アイスベスト」を紹介しました。

多層の断熱シートを用いた専用の保冷剤により、保冷時間の持続を実現。太い血管の通る両脇と背中を直接冷やすことで、効率的に身体を冷やすことができるため、屋外作業や冷房の使えない場所での使用におすすめです。

作業着の専門店「ワークランド」では、さまざまなアイスベストを取り揃えています。また、空調服（ファン付きウェア）と組み合わせるとさらに強力な涼しさを発揮します。

お仕事をはじめ、屋外で長時間作業される場合には、ぜひ「アイスベスト」をご活用ください。

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