真夏の現場で空調服®(ファン付きウェア)を着ていても、湿気の多い日は汗が引かず、体が重く感じることがあります。近年は気温と湿度が同時に上がる日も増え、従来の暑さ対策だけでは不十分に感じる場面が増えました。

そこでおすすめしたいのが、高温・多湿の暑さ対策として注目されている水冷服(水冷ベスト)です。冷やした水や氷水をチューブで循環させ、首元・背中・胸まわりなどを冷やす仕組みで、空調服®(ファン付きウェア)を使いづらい屋内や、粉じんの多い現場で重宝します。

本記事では、水冷服の仕組みや着用するメリット・デメリット、空調服®(ファン付きウェア)との違いを解説します。価格や選び方・使い方、おすすめモデルもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

水冷服の基礎知識

水冷イメージ

水冷服は、冷やした水を循環させて体を冷やす暑さ対策ウェアです。まずは水冷服とは何か、各パーツの働きや仕組みについて解説します。

水冷服・水冷ベストとは?

水冷服(水冷ベスト)とは、冷水や氷で冷やした水をベスト内のチューブに循環させ、体表を冷やす水冷式の作業用ベストです。ファンの風で汗を蒸発させる空調服®(ファン付きウェア)と違い、水そのものの冷たさで体を冷やします。

汗の蒸発に頼る空調服®(ファン付きウェア)に比べると、水冷服は湿度の影響を受けにくい構造です。高温多湿で汗が乾きにくい場面でも、冷水循環による冷たさを得られます。

換気の悪い倉庫や、粉じんが多くファンを使いにくい現場では、水冷服が暑さ対策の候補になります。火気・火花のある現場で使う際は、製品仕様や現場の安全基準を必ず確認しましょう。体温の上がりすぎを抑えたい作業環境ほど、冷やす仕組みの違いを理解して選ぶことが基本です。

バッテリー・ポンプ・チューブ・タンクの役割

水冷服は、タンク・ポンプ・チューブ・バッテリーの4つの部品で構成されています。タンクにためた冷水や氷水をポンプが送り出し、ベスト内に張りめぐらされたシリコンゴム製などのチューブを循環させる仕組みです。各部品が連携することで、冷水などを効率的に循環させながら体を冷やします。

脇・背中・胸を冷やす理由

首の両側には頸動脈、脇には腋窩動脈などの太い血管が通っており、背中や胸まわりにも多くの血液が流れています。これらの部位を冷やすと、冷えた血液が心臓へ戻り、全身を循環することで体の内側にこもった熱を効率よく逃がせると考えられています。従来のように腕・脚だけを冷やすよりも、少ない冷却面積で体温上昇を抑えやすいのが水冷服の特徴です。

水冷服が選ばれる3つの理由

水冷服が選ばれる理由

水冷服が選ばれる理由として、冷たさ・静音性・着込みやすさの3点が挙げられます。詳しく見ていきましょう。

猛暑でも冷たさを得やすい

水冷服は、冷水や氷水を循環させて体を直接冷やす装備です。汗の蒸発に頼る空調服®(ファン付きウェア)と比べると、湿度の影響を受けにくい特徴があります。

たとえば、気温35℃を超える蒸し暑い日でも、タンク内の水が冷たいうちは冷却力を保てます。屋内の厨房や風の通りにくい機械室など、熱がこもりやすい環境では、水冷服が重宝するでしょう。

ファン音がなく静かな場所でも使いやすい

水冷服はファンを使わないため、動作音が静かです。聞こえるのはポンプが水を送る小さな音で、ファン付きウェアのような風切り音は出ません。

とくに精密部品を扱う工場、来客と接する受付、夜間の警備などでは、音への配慮が求められます。周囲への音を抑えながら暑さ対策をしたい場合、水冷服が役立つはずです。

制服や作業着の下に着やすい

制服のある接客業や、上着の指定がある工場では、見た目を変えずに暑さ対策をしたいものです。水冷服は内部にチューブを通して冷水を循環させる構造で、空調服®(ファン付きウェア)のように風で膨らまないため、制服や作業着の下に着込みやすい装備です。インナーとして着用すれば、重ね着した状態でも動きやすさを保てます。

購入前に知っておきたい水冷服のデメリット

水冷服には、購入前に押さえておきたいデメリットがいくつかあります。

氷・水・保冷剤の補充が必要

タンクの水は時間とともに温まり、冷却力は徐々に低下します。そのため、冷たさを保つには氷や水、保冷剤の定期的な補充が必要です。予備の保冷パックを複数用意しておけば、補充の手間を抑えながら冷たさを維持できます。

タンクやバッテリーの重さを感じる

水冷服は、タンクに水を入れて使うぶん、空調服®(ファン付きウェア)などに比べて重く感じます。モデルによりますが、本体重量はおよそ600gあり、水や氷、バッテリーが加わると装着時の重量はさらに増えます。長時間着用する現場では、肩や腰への負担が気になるかもしれません。

結露・水漏れ・部品故障に注意

水冷服は水と電気を扱うため、結露や水漏れ、部品の故障に注意が必要です。冷たい水が流れるチューブの表面には結露が発生しやすく、接続部がゆるむと水漏れにつながります。使用前は接続部を点検し、使用後はタンクの水を抜いて乾燥させましょう。

水冷服と空調服®(ファン付きウェア)はどっちが涼しい?

空調服®との違い

水冷服は、タンク内の冷水や氷水をベスト内のチューブに循環させ、首元や背中、胸まわりを直接冷やす仕組みです。一方、空調服®(ファン付きウェア)はファンで服の中に風を送り込み、汗を蒸発させることで気化熱を利用して涼しさを生み出します。

比較軸 水冷服 空調服®(ファン付きウェア)
冷却方式 冷水・氷水を循環させて体を直接冷やす ファンの風で汗を蒸発させ、気化熱で冷やす
高温多湿 湿度に左右されにくい 湿度が高いと効果が変わりやすい
静音性 ポンプ音のみで静か ファンの風切り音が出る
手入れの手間 水・氷の補充が必要 充電だけで使える
価格の目安 服のみ1万円前後〜/セット1.5万〜数万円台 服のみ3,000円台〜/セット1万円前後〜

どちらが適しているかは、作業場所の湿度や風通し、粉じんの有無、水や氷を補充できる環境によって変わります。

高温多湿や粉じんが気になる現場は水冷服

湿度が高い環境や、粉じんが多くファンを使いにくい現場では、水冷服が役立ちます。ただし、火気・火花のある現場で本当に使えるかどうかを、製品仕様や現場の安全基準で必ず確認してください。

とくに厨房・塗装ブース・解体現場のように、熱や湿気がこもる場所では、ファン付きウェアは使いにくいものです。こうした環境で体にこもる熱を逃がしたい場合は、水冷服を活用してみましょう。

風を通せる屋外作業は空調服®(ファン付きウェア)

乾いた風が通る屋外作業では、空調服®(ファン付きウェア)のほうが涼しさを得られるでしょう。汗を蒸発させる気化熱の仕組みは、風通しのいい環境で力を発揮します。水の補充がいらず、充電だけで長時間使える手軽さも、屋外作業では大きな利点になります。

水冷服と空調服®(ファン付きウェア)を併用する際の注意点

水冷服と空調服®(ファン付きウェア)は併用可能です。空調服®(ファン付きウェア)の下に薄手の水冷ベストを着れば、風と冷水の両方で体を冷やせます。ただし、重ね着すると重量が増えるほか、電源を複数管理する手間が発生します。併用する場合は、重量や電源管理、動きにくさを事前に確認しましょう。

水冷服の価格帯と予算の考え方

水冷服を購入する際は、本体価格だけでなく運用にかかる費用も見込んでおきましょう。

服のみ・バッテリー付き・上位モデルで分ける

水冷服の価格は、構成やメーカーによって幅があります。

服のみは1万円前後から、ポンプ・タンク・バッテリーがそろったセットは1.5万円前後からが目安です。手持ちのバッテリーを使い回せる場合は、服のみのモデルを選んでもいいでしょう。ただ、初めて水冷服を購入するなら、必要な部品がそろったセットモデルがおすすめです。

大容量バッテリーや冷却面積の広い上位モデルでも、2万円台前半から見られます。冷却範囲や付属品によっては、2万円台後半から数万円台になるケースもあります。価格は高くなりますが、近年の猛暑を快適に乗り切りたいなら、選ぶ価値は十分にあります。

交換用タンク・保冷ボトル・予備バッテリーも予算に入れる

1日8時間の作業で冷たさを切らさず使うなら、保冷パックや予備バッテリーを複数そろえる前提で考えましょう。あらかじめ周辺アイテムも含めて予算を見込んでおけば、現場で氷や電源が足りずに困るリスクを減らせます。

水冷服の選び方と使い方

水冷服の選び方と使い方

水冷服を選ぶときは、サイズ・冷却時間・タンク容量・重量をまず確認しましょう。ここでは、購入前に押さえたいポイントと、長時間使うためのコツを解説します。

サイズ・冷却時間・タンク容量を確認する

水冷服を選ぶときは、サイズ・冷却時間・タンク容量をまず押さえます。サイズはフリーサイズが多いものの、体型に合わないと冷却ユニットが体に密着せず、冷たさが伝わりにくいため注意してください。

冷却が続く時間やタンクの水量は、製品ごとに異なります。適正水量500ml前後、冷却持続1.5時間前後を目安に、自分の作業時間に対して何回補充が必要かを見積もっておきましょう。

重量と動きやすさを確認する

水冷服は、水を入れた状態の重さと作業時の動きをあわせて考えましょう。本体の重さに水とバッテリーが加わるため、装着時はずっしりと感じるはずです。試着できる場合は、腕回し・前かがみ・道具を持つ姿勢など、実際の動きに近い状態で負担を確認してください。

着用前に水・氷・保冷剤・バッテリーを確認する

水冷服は、使用前の準備で冷たさの立ち上がりが変わります。出発前にタンクへ水を入れ、氷や保冷剤を用意し、バッテリーを満充電にしておきましょう。

朝の現場入り前に冷水を仕込んでおけば、作業開始と同時に冷えた状態で使い始められます。準備を後回しにすると、冷えるまでに時間がかかり、暑さが厳しい時間帯に十分な冷却力を発揮できません。

長時間使うなら補充計画を立てる

水冷服を一日中使うなら、氷や水を補う計画を立てておきましょう。冷却の持続時間には限りがあるため、補充のタイミングを決めておくと冷たさを切らさずに運用できます。

冷却持続時間を目安に、1.5時間前後または休憩ごとに保冷剤や氷を入れ替える段取りを組んでください。補充用の氷をクーラーボックスに用意しておけば、猛暑日でも冷たさを保ちながら作業を続けられます。

水冷服のおすすめモデル

ここでは、ワークランドで取り扱いのある水冷服のおすすめモデルをご紹介します。

[アタックベース] 11120 水冷ベストHYPER(専用バッテリー付き)

「アタックベース 11120 水冷ベストHYPER」は、空調服®(ファン付きウェア)を使いにくい屋内や、粉じんの多い現場で選びやすいモデルです。前面・背面・襟元の冷却ユニットに氷で冷やした冷水を流す面冷却タイプで、上半身を広く、効率的に冷やします。

本体重量は約620g(バッテリー含まず)と軽量で、付属保冷パック1本での冷却持続は約1.5時間が目安です。外気温や水量によって変わるため、長時間使用する場合は氷や保冷パックを交換しながら運用しましょう。

[ジーベック] 33000 水冷ベスト(専用バッテリー付き)

「ジーベック 33000 水冷ベスト」は、猛暑日でも冷たさを保ちながら使いたい方におすすめの一着です。TPU製タンクの水をポンプで循環させるチューブ循環タイプで、冷水を上半身にめぐらせて体を冷やします。

運転モードは、連続運転、15秒作動・30秒停止、8秒作動・45秒停止の3つで、作業時間や冷え方に合わせて切り替えられます。建設・製造現場など、炎天下かつ長時間作業を行うときに欲しいモデルです。

水冷服のよくある質問

水冷服のよくある質問

最後に、水冷服についてよくある質問をまとめます。

水冷服のデメリットは?

氷や水の補充が必要なことと、水を入れた分だけ重くなることです。冷たさは保冷剤1本で1.5時間前後が目安のため、長時間使うときは入れ替えが前提となります。

水冷服と空調服®(ファン付きウェア)はどっちが涼しい?

どちらが涼しいかは、使う環境によって変わります。湿度が高い屋内や、粉じんが多くファンを使いづらい現場では、水冷服が候補になります。ただし、火気・火花のある現場では、使えるかどうかを製品仕様や現場の安全基準で確認してください。一方、乾いた風が通る屋外作業では、汗を蒸発させて冷やす空調服®(ファン付きウェア)をおすすめします。

水冷服は何時間使える?

使える時間は、冷たさの持続とポンプの稼働時間を分けて考えます。保冷剤や氷による冷たさは、付属保冷パック1本でおよそ1.5時間が目安です。

まとめ

水冷服(水冷ベスト)は、冷水を循環させて体を冷やす暑さ対策ウェアです。湿度が高い環境や、粉じんが多くて空調服®(ファン付きウェア)を使いにくい現場で重宝するでしょう。火気・火花のある現場では、製品仕様や現場の安全基準を確認してから選びましょう。

ただし、氷や水の補充が必要なことや、水を入れて使うぶん重量が増えること、結露や水漏れへの配慮が必要な点に注意してください。冷却時間やタンク容量、重量、補充のしやすさを確認し、現場と作業内容に合った1着を探してください。

「ワークランド」では、アタックベースジーベックの人気モデル・定番モデルを取り扱っています。 この夏を快適に乗り切るために、ぜひ購入をご検討ください。

執筆者情報

ワークランド編集部

作業服や作業着、ワークウェアに精通した専門スタッフが監修しています。作業現場での実体験や最新のトレンドを基に、機能性やデザイン性を兼ね備えた商品選びのポイントを分かりやすく解説しています。ワークウェア選びでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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