自分に合った安全靴を選ぶには、第一に規格の方針を固めることが大切です。なかでも「JSAAとJISの使い分けに困る」という声が多数あり、買い替えのたびに悩む作業者の方は珍しくありません。

重要な保護装備である安全靴は、性能や基準を把握せずに購入すると後悔しやすいものです。現場の安全面は、もちろん作業パフォーマンスにも悪影響をおよぼします。

本記事では、JSAAによる安全靴認証の概要から、JISとの相違点、実際の選択基準まで体系的に解説します。安全性と作業性のバランスが取れた製品選びにお役立てください。

JSAA規格の安全靴とは？

JSAA規格の安全靴は、「足下の保護」と「動きやすさ」を両立したアイテムです。JIS規格の安全靴と同様に足先を保護しつつ、軽くて取り回しが良いため、快適に作業を続けやすくなります。

ここでは、JSAA規格の基本的な特徴やJIS規格との違いについてご紹介します。

重作業はJIS、軽～普通作業はJSAAが基本

重作業はJIS、軽〜普通作業はJSAAの安全靴を選ぶのが基本です。ただし、現場ごとに「安全性をどこまで重視するか」で最適な規格は変わります。

具体例として、鉄筋工事や大型機械部品を取り扱う作業場では、重量物の落下や激しい衝撃への備えが不可欠なため、頑丈なJIS認証品が必須です。これに対し、物流センターや軽量品の搬送業務が主体の現場では、軽快で機動力のあるJSAA認証品が重宝します。

JSAA規格の概要と位置づけ

JSAA規格の安全靴は、つま先を守る先芯を備えたスニーカータイプが中心です。先端部の防護機能を維持しながら、重量を抑えつつ機動性を高めています。軽くて通気性が高く、デザイン性に優れた製品も多いです。

ただし、JISと比較すると持続性に関する要求水準がやや控えめです。重量物を扱う現場ではJIS認証品、軽作業や屋内業務ではJSAA認証品といった使い分けが実践的といえます。

JIS規格との根本的な違い

JIS規格は、国が定める「安全靴」の基準です。材料や強度など細かい条件が決められており、重作業や危険の多い現場で使われます。

一方、JSAA規格は「プロテクティブスニーカー」としての認証で、素材やデザインの自由度が高く、軽くて動きやすい靴が多いのが特徴です。

作業場によってはJIS基準品のみ着用可とするルールがあるため、購入時に認証マークの種類を確認してください。

【JSAA規格の安全靴】A種・B種の意味は？

JSAA規格の安全靴は、A種（普通作業用）とB種（軽作業用）にわけられます。いずれもつま先保護性能はJIS規格と同等ですが、対応できる作業の強度が異なります。ここでは、JSAA規格におけるA種とB種の違い、選び方を解説します。

A種とB種の違い

A種は普通作業用にあたり、耐衝撃性70J・耐圧迫性10kNの基準を満たした汎用タイプです。製造業や物流業など、幅広い現場で使われています。

B種は軽作業用で、耐衝撃性30J・耐圧迫性4.5kNを基準としています。A種に比べてフットワークが軽く使いやすいモデルが多く、長時間の歩行や軽作業に適したタイプです。

A種/B種の選び方

重量物を扱う現場や、落下・挟み込みの危険がある作業ではA種が適しています。こうした職場の例としては、製造業での組立や倉庫での重量物運搬が挙げられます。

一方、軽い荷物が中心で床が平ら、さらに長距離歩行が多い職場では、B種の軽さが作業効率を高めます。店舗での品出しや事務所での軽作業がその代表例です。

ただし、床面に油分や水分が多い環境や、鋭利な金属片が散在する現場では慎重な判断が必要です。A種でも防滑機能や踏み抜き防止性能を持つモデル、あるいはJIS準拠品を選択し、十分に安全性を確保しましょう。

【JSAA規格の安全靴】JIS規格との性能の違い

JSAA規格とJIS規格では、基準となる性能や試験方法に差があります。どちらを選ぶべきか判断するためには、この違いを正しく理解しておきましょう。

耐衝撃性の違い

耐衝撃性とは、つま先に物が落ちたときにどれだけ衝撃を吸収できるかを示す性能です。安全靴の芯材（先芯）に一定の重さを落下させ、その耐久度を数値（J：ジュール）で測定します。

JSAA規格の耐衝撃性は、以下のように定められています。

• A種：70J
• B種：30J

一方、JIS規格の安全靴も用途に応じて区分されており、普通作業用の「S種」は70J、軽作業用の「L種」は30Jの基準で測定されます。

つまり、JSAA規格とJIS規格の耐衝撃性は以下のように対応しています。

• JSAA A種（70J）＝ JIS S種（普通作業用：70J）
• JSAA B種（30J）＝ JIS L種（軽作業用：30J）

この関係性を理解しておけば、作業内容に合わせてどちらの規格を選ぶべきか判断しやすくなります。とくに重量物を扱う現場ではA種、軽作業中心ならB種を目安にするとよいでしょう。

なお、JISにはより高性能なH種（100J）やU種（200J）も存在します。建設現場や重量物を常時扱う作業場のように、強烈な衝撃を受ける可能性が高い環境では、上位基準をクリアした製品を選ぶのが理想です。

耐滑性の違い

防滑性能は、床面状態による滑りにくさを「動摩擦係数」で数値化した指標です。この値が大きいほど、滑りにくい靴であることがわかります。

JIS規格では、以下のように耐滑性を細かく区分しています。

• F1＝動摩擦係数0.20以上0.30未満（最低限の滑りにくさを確保）
• F2＝動摩擦係数0.30以上（さらに高い滑りにくさを保証）

JSAAにも防滑性能の分類（マークF）があり、「動摩擦係数0.20以上」を基準としています。これはJISのF1分類で定める下限値（0.20以上）と同等の水準です。

そのため、油分や水分で濡れやすい床面では、F2相当品や「防滑仕様」と表示されたモデルを選びましょう。乾燥した床面や平坦な環境なら、JSAA基準（F1相当）でも十分に対応可能です。

屈曲性・柔軟性の違い

JSAA規格は甲部分に使える素材の自由度が高く、人工皮革・合成皮革・メッシュなども使用可能です。そのため、足の動きに合わせて曲がりやすく、屈曲への追従性に優れる傾向があります。

反対にJIS規格は、アッパー部分を天然皮革または全ゴム・全合成樹脂に制限し、厚さや物理特性の最低値まで厳密に規定しています。その結果、耐久性や防護性は安定しますが、素材の制約により柔軟性・透湿性がやや劣ることがあります。

【JSAA規格の安全靴】自分に合った安全靴の選び方

JSAA規格の安全靴を選ぶときは、作業内容や環境を十分に考慮しましょう。つま先の保護や滑りにくさはもちろん、履き心地や耐久性まで含めて判断します。

ここでは、自分に合った安全靴を選ぶためのポイントをご紹介します。

作業内容に合った耐衝撃性で選ぶ

重量物を扱う現場では、「JSAA A種」を選ぶといいでしょう。A種なら先芯保護に必要な性能を備えており、強い衝撃にも対応できます。

反対に、小型や軽量の荷物が中心で落下や圧迫の危険が少ない職場では、JSAA B種で十分対応できます。ただし、想定外の重量物を扱う可能性があるなら、余裕を持たせてA種を選ぶのが安全です。

重量と通気性のバランスを考える

長時間装着や歩行が多い職場では、合成皮革・人工皮革・メッシュなどの軽量素材を採用したJSAA認証品がおすすめです。軽量化により足への負荷を軽減できるほか、透湿性があることで蒸れも軽減されます。

一方で、接着部や甲部分の耐久性については、JIS規格のほうが厳しい基準を設けています。摩耗や切り傷のリスクが高い現場では、軽さより耐久性を重視し、場合によってはJIS規格品を選んでください。

【JSAA規格】おすすめの安全靴5選

ここでは、「ワークランド」で取り扱いのあるJSAA規格の安全靴から、代表的な5モデルを取り上げます。それぞれの特徴とおすすめの現場を見ていきましょう。

[自重堂] S6172 制電セーフティシューズ

耐油性と制電機能を備えたスニーカータイプの安全靴です。静電気対策が施されており、工場や物流現場などでも安心して使えます。コストと性能のバランスに優れており、複数配備する際にも導入しやすい一足といえるでしょう。

[コーコス] A-44000 プロスニーカー

人工皮革やメッシュを使った軽量モデルで、耐滑性と耐油性をしっかりと備えています。長時間の立ち作業や巡回の多い現場仕事に最適です。

[アシックス] ウィンジョブCP218（1273A091）

アシックスの定番シリーズ「ウィンジョブ」の一足です。耐衝撃・耐圧迫・耐滑といった基本性能に加えて、かかと衝撃吸収機能も備えており、足への負担を軽減します。スポーツシューズ由来の設計を取り入れているため、滑りやすい床や動きの多い現場でも安定した歩行をサポートします。

[ニューバランス] PL-441 Portland

倉庫や物流業務で定番となっているプロスニーカーです。軽量アッパーと安定感のあるヒールサポートに加え、耐滑性を重視したソール設計を採用しています。長時間の歩行やピッキング作業でも安心して使用できる一足です。ニューバランスならではの快適なフィット感を仕事用シューズで体感できます。

[ジーベック] 85146 プロスニーカー

耐滑ラバーとEVAミッドソールを採用し、価格と性能のバランスに優れたモデルです。油や泥、水が多い環境でも安定したグリップ力を発揮し、滑りや転倒のリスクを抑えます。コストパフォーマンスを重視したい方におすすめの一足です。

【FAQ】現場でよくある！安全靴のよくある質問

JSAA規格とJIS規格の違いや選び方について、よくある疑問にお答えします。

JIS規格とJSAA規格、結局どちらが安全なの？

安全性は規格そのものの優劣ではなく、作業条件との適合性で判断します。JIS規格は堅牢な素材と高い耐久性を前提とし、重量物を扱う現場や重作業に向いています。一方、JSAA規格は軽さや通気性、動きやすさに優れ、倉庫作業や軽作業で選ばれるケースが多い規格です。

プロテクティブスニーカーって何が違う？

プロテクティブスニーカーは、スニーカーのような外観を持つ作業靴です。つま先の先芯や底の剥離抵抗など、JSAA規格で定められた基準を満たしています。ただし、荒れた床や摩耗の多い現場では、革製が中心のJIS規格安全靴の方が耐久性に優れているためおすすめです。

JISとJSAA、見た目でどう区別する？

JIS規格には「JISマーク」、JSAA規格には「JSAA型式認定合格証明票（プロテクティブスニーカー表示）」が表示されています。これらの表示は、第三者機関の試験合格を証明するものです。購入時に必ず確認しましょう。

耐滑性や踏み抜き防止はどれくらい必要？

安全靴の防滑性は、床面での滑り抵抗を数値化した「動摩擦係数」で分類されています。たとえば、油分や水分で滑りやすい職場では、数値の高い製品を選ぶことで、転倒事故のリスクを軽減できるでしょう。

加えて、かかと衝撃吸収（20J以上）や踏み抜き防止（1100N以上）は、転倒や足裏損傷を防ぐ上で重要な指標です。職場固有のリスクを考え、必要な機能を備えたモデルを選ぶことが事故防止につながります。

JSAA規格の安全靴はどこで買える？

ホームセンターや作業服専門店、公式通販、総合ECなど、幅広い販路で購入できます。たとえば、「ワークランド」ではJSAA規格の安全靴を豊富に取りそろえており、サイズやカラーの在庫も豊富です。

まとめ

JSAA規格の安全靴は、足元を守るために欠かせないアイテムです。JIS規格をベースにしつつ、普通〜軽作業に必要なつま先保護性能を確保しています。さらに、素材の自由度を活かして軽さや通気性を高めた「プロテクティブスニーカー」として位置づけられています。

JSAA規格の安全靴を選ぶ際は、まずA種・B種の等級を確認しましょう。耐滑・かかと衝撃吸収・踏み抜き防止・静電などの付加性能を職場のリスクに合わせて選ぶことが大切です。そのうえで、フィット感や重量、耐油性や通気性といった要素を比較すると、安全性と作業効率を両立しやすくなります。

「ワークランド」では、豊富な知識を持つスタッフが作業環境に合わせた最適な一足をご提案しています。JSAA規格の安全靴選びに迷ったときは、ぜひお気軽にご相談ください。

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