帯電防止作業服とは?必要性から選び方まで

工場や作業現場では、静電気が火災や精密機器の故障を引き起こすことがあります。これを防ぐために、静電気の発生を抑える帯電防止作業服の着用が欠かせません。今回は、そんな帯電防止作業服の必要性や選び方、正しい着用・管理方法について分かりやすく解説します。安全な作業環境を整えるための参考にしてください。

帯電防止作業服とは

帯電防止作業服とは、静電気の発生を抑制し、作業者の安全を確保するために設計された作業着です。これらの作業服は、導電性のある糸を織り込んだ帯電防止繊維を使用しており、静電気による火災や爆発のリスクを低減します。
具体的な特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 導電性繊維の使用:生地に導電性繊維を織り込むことで、静電気の蓄積を防ぐ
  • 金属部品の非露出:ファスナーやボタンなどの金属製付属品は、直接外部に露出しない構造となっている
これらの設計により、帯電防止作業服は静電気による事故防止に役立ちます。

静電気帯電防止作業服の呼称

帯電防止作業服には、以下のようなさまざまな呼称があります。帯電防止作業服には、以下のようなさまざまな呼称があります。

  • 静電服:一般的に使われるシンプルで分かりやすい名称
  • 帯電防止作業服:日本産業規格(JIS T8118)で使用される正式名称
  • ESDユニフォーム:Electrostatic Discharge(静電放電)の略称で、静電気対策が重視される現場で使用される

その他にも、以下のような呼び方があります。

  • 静電気対策服:静電気を抑える目的の作業服全般を指す
  • 低発塵ユニフォーム:静電気防止に加え、塵の発生も抑える作業服で、クリーンルーム向けに使用される
  • 制電服・導電性作業服:業界や企業によって使われる独自の名称

これらの呼称は、用途や業界によって使い分けられており、選択する際には作業環境や必要な性能を考慮することが重要です。

帯電防止作業服が必要な理由

帯電防止作業服は、作業者の衣類が帯びる静電気を抑制し、安全な作業環境を確保するために開発されています。特に電子部品の製造や化学工場など、静電気がトラブルの原因となる環境では欠かせないアイテムです。

電子機器の故障

静電気放電(ESD)は、半導体や精密機器を破損させる可能性があります。静電気が電子部品に影響を及ぼすと、故障や誤作動の原因となり、生産性の低下や品質問題を引き起こします。

火災・爆発の危険

引火性のガスや粉塵が存在する場所では、静電気が火種となり、火災や爆発を引き起こすリスクがあります。そのため、これらの環境での作業には、静電気を抑制する帯電防止作業服の着用が不可欠です。

作業者の不快感・事故

静電気によるショックは、作業者に不快感を与えるだけでなく、集中力の低下や作業効率の悪化を招く可能性があります。これにより、思わぬ事故やミスが発生するリスクが高まります。

帯電防止作業服が必要になる場面

帯電防止作業服は、静電気による事故や製品トラブルを防ぐため、以下のような職場での着用が必要とされています。

電子機器・半導体製造工場

精密な電子部品や半導体を製造する現場では、静電気放電(ESD)によって製品が破損するリスクがあります。帯電防止作業服の着用により、静電気の発生を抑え、製品の品質と安全性を確保します。

化学工場

可燃性ガスや粉塵が存在する化学工場では、静電気が火花を生じさせ、火災や爆発の原因となる可能性があります。帯電防止作業服の着用は、これらのリスクを低減し、安全な作業環境を維持するために不可欠です。

電力・ガス関連施設

電力会社や発電所、ガス関連施設では、高電圧設備や可燃性物質を取り扱うため、静電気によるスパークが重大な事故を引き起こす可能性があります。帯電防止作業服の着用は、作業者の安全を確保し、設備の安定稼働につながります。

印刷工場

印刷工程では、静電気が紙の貼り付きやインクの飛散を引き起こし、作業効率や製品品質に悪影響を及ぼすことがあります。帯電防止作業服を着用することで、これらの問題を防ぎ、スムーズな作業に役立ちます。

JIS規格(JIS T 8118)に基づく帯電防止作業服

JIST8118帯電作業服

帯電防止作業服は、静電気による災害や障害を防ぐため、日本産業規格(JIS T 8118)に基づいて設計されています。この規格では、以下の仕様が求められています。

導電性繊維の使用

帯電防止作業服の生地には、導電性繊維を均等に織り込んだ帯電防止織編物を使用することが求められます。これにより、静電気の蓄積を防ぎます。

金属部品の非露出

ボタンやファスナーなどの金属製付属品は、原則として使用しないこととされています。やむを得ず使用する場合は、着用時に外側に露出しない構造にする必要があります。

裏地の使用制限

裏地付きの帯電防止作業服では、表地および裏地に帯電防止織編物を使用し、通常、裏毛生地(ボア)は使用してはならないとされています。やむを得ず、えり、そで口などに帯電防止織編物でない生地を使用する場合は、その面積が帯電防止服の表面または裏面露出面積それぞれの20%を超えてはならないと規定されています。

帯電防止性能の試験

JIS T 8118では、帯電防止作業服の性能試験として、試験が規定されています。試験では、完成品1点あたりの帯電電荷量が0.6μC以下であることが求められています。

近年注目される国際規格「IEC規格」

近年、帯電防止作業服の分野において、国際規格であるIEC規格(国際電気標準会議)が注目されています。IECは、電気および電子技術分野の国際標準規格を策定する組織であり、その規格は世界の技術標準化や国際貿易の促進を目的としています。
従来、日本国内ではJIS規格(日本産業規格)が主に参照されてきましたが、IoTやAIの普及に伴い、国際的な互換性や安全性の確保がより重要視されるようになっています。これにより、帯電防止作業服においても、IEC規格への適合が求められるケースが増加しています。
IEC規格に適合した製品は、国際的な信頼性と安全性を備えており、グローバルな市場での競争力向上に寄与します。企業がIEC規格に準拠した製品を開発・提供することは、国際市場での受け入れをスムーズにし、製品の品質と安全性を保証する上で重要です。
今後、帯電防止作業服の分野でも、IEC規格に適合した商品が多く登場することが見込まれます。購入の際には、こちらもぜひ検討してみましょう。

帯電防止作業服を選ぶポイント

帯電防止作業服を選ぶ際は、作業環境や用途に適した性能を備えているかの確認が重要です。特に、静電気による影響を最小限に抑えるために、適切な規格や機能を備えた作業服を選ぶ必要があります。

作業内容に適した帯電防止レベルを確認

作業場のリスクに応じて、適切な規格に適合した作業服を選びましょう。国内で一般的に使用されるのは、日本産業規格(JIS T 8118)に適合した製品であり、電気工事や精密機器工場などで広く採用されています。一方、国際基準に適合したIEC規格の製品は、より厳格な安全基準が必要な環境で使用されることが多く、海外の工場や国際的なプロジェクトに関わる場合には導入を検討しましょう。 なお、同じ規格に適合している製品であっても、メーカーによって使用されている素材や導電性繊維の配置、縫製技術が異なるため、具体的な仕様を比較することが重要です。性能の違いが作業の安全性や快適性に影響するため、購入前に詳細を確認しましょう。

動きやすいデザインを選ぶ

作業のしやすさを考慮し、動きを妨げないデザインの作業服を選ぶことが重要です。特に腕周りの可動域を確保する設計のものは、頻繁に腕を動かす作業に適しています。また、締めつけが強すぎると作業中の疲労につながるため、適度なフィット感のある作業服を選ぶことが快適な作業環境につながります。
最近では、ストレッチ素材を使用した帯電防止作業服も増えており、動きやすさを重視する現場ではこのようなタイプの作業服を選ぶのも良いでしょう。試着が可能であれば、実際に着用して動きやすさを確かめることをおすすめします。

耐久性の高い素材を選ぶ

作業環境によっては、ほこりや塵の付着が厳しく管理されるため、耐久性の高い素材を選ぶことも大切です。特に、頻繁な洗濯が必要な現場では、生地の耐久性が求められます。洗濯を繰り返しても帯電防止機能が維持される素材を選ぶことで、長期間にわたり安全性を確保できます。
また、食品工場や医療現場など、衛生管理が厳しい環境では、防汚性や抗菌性を兼ね備えた作業服が推奨されます。これらの現場では、帯電防止機能とともに、衛生面でも高い基準をクリアした作業服を選ぶことが重要です。

帯電防止作業服を正しく着用するポイント

JIST8118帯電作業服

帯電防止作業服を正しく着用することで、静電気による事故やトラブルを効果的に防げます。以下のポイントに注意して着用しましょう。

インナーウェアの選択

帯電防止作業服の下に着用するインナーウェアは、静電気の発生を抑えるために重要です。一般的に、綿100%の衣類は静電気を帯びにくい性質を持っています。一方、化学繊維のインナーは静電気を帯びやすいため、避けることが推奨されます。適切なインナーウェアを選ぶことで、作業中の静電気リスクを低減できます。

作業服の袖や裾の正しい処理

作業服の袖口や裾は、静電気の放電経路として重要な役割を果たします。袖や裾をきちんと閉じることで、静電気が外部へ安全に放出されやすくなります。これにより、静電気の蓄積を防ぎ、火災や爆発のリスクを低減できます。

帯電防止作業服を管理するポイント

帯電防止作業服の効果を持続させ、安全な作業環境を維持するためには、適切な管理とメンテナンスが不可欠です。以下のポイントに注意して取り扱いましょう。

定期的な洗濯とメンテナンス

帯電防止作業服は、使用中に付着する汚れや埃が静電気防止性能に影響を及ぼす可能性があります。そのため、定期的な洗濯が必要です。なお洗濯の際には、帯電防止性能を維持するために専用の洗剤を使用し、柔軟剤の使用は避けましょう。柔軟剤は生地に膜を形成し、導電性を低下させる可能性があるためです。

劣化した作業服の交換

長期間の使用や頻繁な洗濯により、作業服に織り込まれた導電繊維の効果が徐々に低下することがあります。帯電防止性能が低下した作業服を使用し続けると、静電気による事故のリスクが高まります。定期的に作業服の状態を確認し、劣化が見られる場合や使用期間が長くなった場合は、新しい作業服への交換を検討することが重要です。

おすすめの静電気・帯電防止作業服

ここからは、ワークランドでご用意しているおすすめの静電気・帯電防止作業服をご紹介します。

[バートル] 9701 ストレッチジャケット(ユニセックス)

ストレッチ性と帯電防止機能を兼ね備えた作業ジャケット。動きやすく快適な着心地で、さまざまな作業現場に対応します。男女兼用デザインも魅力。


[バートル] 6081 ジャケット

JIS T 8118適合の帯電防止仕様で、安全性と快適性を両立した作業ジャケット。耐久性のある生地と機能的なデザインで、幅広い現場に対応します。


[Z-DRAGON] 76800 エコ製品制電ストレッチ長袖ジャンパー

帯電防止機能に加え、環境に配慮したエコ素材を使用。ストレッチ性があり、動きやすさと快適な着心地を実現した長袖ジャンパーです。


[自重堂] 46200 長袖ブルゾン

JIS T 8118適合の帯電防止仕様で、安全性を確保。シンプルなデザインと高い耐久性で、さまざまな作業環境に対応する長袖ブルゾンです。


桑和 [G.G.] 8018-10 長袖ブルゾン

帯電防止機能を備えたシンプルで実用的なブルゾン。耐久性のある素材と快適な着心地で、幅広い作業環境に適しています。


[アタックベース] 19034 APEX WIN ストレッチブルゾン

ストレッチ性と防風性を兼ね備えた帯電防止ブルゾン。動きやすく快適な着心地で、寒冷地や屋外作業にも適しています。


[TS DESIGN] 5616 TS4D エコダブルクロスジャケット

帯電防止機能に加え、エコ素材を使用した高機能ジャケット。ストレッチ性と動きやすさを追求し、快適な作業環境を実現します。


[TS DESIGN] 84656 ドライテックジャケット

防水・透湿性に優れたドライテック素材を採用し、帯電防止機能も備えた高性能ジャケット。悪天候下でも快適な作業をサポートします。


[コーコス] A-9071 ストレッチ長袖ジャケット

ストレッチ素材で動きやすく、帯電防止機能も備えた作業ジャケット。耐久性と快適性を兼ね備え、さまざまな作業環境に適応します。


[HOOH] 4203 難燃ブルゾン

難燃性と帯電防止機能を兼ね備えた高性能ブルゾン。火気を扱う現場や高温環境での作業に最適な、安全性重視の一着です。


静電気防止安全靴や作業手袋の併用も重要

帯電防止作業服の効果を最大限に発揮するためには、静電気防止安全靴や作業手袋、作業キャップなどの併用が不可欠です。作業服だけが帯電防止仕様でも、靴や手袋が規格外では静電気が蓄積され、事故のリスクが残ります。
静電気防止安全靴は、体に溜まった静電気を地面に逃がし、火花による引火や精密機器の誤作動を防ぎます。また、帯電防止仕様の手袋やキャップを使用することで、静電気の発生を抑え、安全性をさらに高めることができます。
作業環境全体で帯電防止対策を行い、作業服と併せて適切な装備を選ぶことで、静電気による事故を未然に防ぎましょう。


まとめ

帯電防止作業服は、静電気による事故やトラブルを防ぐために重要な役割を果たします。
適切な作業服を選び、正しく着用・管理することで、その効果を最大限に発揮できます。
また、静電気防止安全靴や手袋などの併用も、安全な作業環境を維持するために欠かせません。
作業現場に適した帯電防止対策を行い、静電気によるリスクを未然に防ぎましょう。

ワークランドでは、幅広いシチュエーションに対応できる帯電防止作業服をご用意しています。
帯電防止作業服をお探しの際は、ぜひ当店をご利用ください。

執筆者情報

ワークランド編集部

作業服や作業着、ワークウェアに精通した専門スタッフが監修しています。作業現場での実体験や最新のトレンドを基に、機能性やデザイン性を兼ね備えた商品選びのポイントを分かりやすく解説しています。ワークウェア選びでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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