作業服の勘定科目は福利厚生費?クリーニング代や勘定科目の選び方についても解説
勘定科目とは、経理上の分類項目のことで、これには明確なルールがありません。そのため、作業服の勘定科目が、福利厚生なのか消耗品なのかで悩む方も多いでしょう。
この記事では、作業服の勘定科目における選び方がわからない人に向けて、科目を選ぶ際のポイントなどを紹介します。ぜひ参考にしてください。
作業服の勘定科目は「福利厚生費」
作業服の勘定科目は、作業服を事業に使用した場合に限り、「福利厚生費」として処理できます。しかし、その作業服がプライベートでも使用できると判断された場合は、「給与」扱いとなる点が特徴です。また、個人事業主の場合は、「消耗品費」で処理します。
勘定科目を分類する上でおさえておきたいこと
勘定科目を分類する上でおさえておきたい所得税と法人税、福利厚生、製造原価、売上原価について知っておきましょう。
所得税|法人税
所得税とは、事業利益にかかる税金のことです。納税通知書ではなく、確定申告の時期に自分で計算して納付します。
法人税は、法人にかかる所得税です。税法上では個人の所得とは分けられて考えられています。決算書には、「法人税等」と記載されることが多いです。法人税等には、所得税のほかに法人住民税と法人事業税が含まれます。
福利厚生
福利厚生とは、会社から社員に送られる、金銭以外の支給品のことです。「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類が存在します。法定福利厚生とは、会社が負担する福利厚生制度のことです。法律によって規定されており、社会保険料や子育てに関する拠出金、労働基準法上の休業補償などが該当します。
一方、法定外福利厚生は、法的義務のない福利厚生制度です。会社が独自で設定する社宅や住宅費、家賃の補助、子育て支援などが該当します。
製造原価
製造原価とは、製造に必要な仕入金額のことです。会計上では、材料費と労務費、経費の3つに分類されます。
材料費は、原料の仕入れにかかった費用です。労務費は、人件費の他に、ボーナスや福利厚生費なども含まれます。経費は、材料費と労務費以外の事業費用です。設備投資や減価償却費、光熱費などが該当します
売上原価
売上原価とは、売れた商品に対する原価のことです。製造原価と異なり、売れなかった分の原価を含みません。以下の公式で求められます。
- (期首の在庫金額+当期仕入高)ー期末の在庫高
ちなみに、自社製造の製品を販売する場合は、製造原価と売上原価が同じになるケースもあります。
作業服の勘定科目を福利厚生費以外にする方法
作業服の勘定科目を、福利厚生費以外にする方法を紹介します。
科目を作る
勘定科目は、法人・個人問わず、自由に作成できます。そのため、作業服の勘定科目を福利厚生費以外にしたいときは、「作業服費」という科目を新しく作りましょう。科目を作る際は、株主や税務署、債権者などが誤解しないように、わかりやすい名前をつけることが大切です。
消耗品費として処理する
売上に直接関わらない従業員や、従業員がいない経営者が作業服を着用する場合は、消耗品費として処理します。たとえば、工場で働く作業員の作業服は「福利厚生費」、事務員が着る作業服は「消耗品費」です。プライベートで使用できる作業服も、消耗品費として処理できます。
売り上げの有無による勘定科目の違い
売り上げの有無によって、勘定科目に違いがあります。詳しい内容を見ていきましょう。
売上原価
作業服が売上に直接関わる場合は、「売上原価」として会計処理できます。売上原価は、売った製品に対する原価です。そのため、売れていない製品は、原価としてカウントしません。
消耗品費
作業服が売上に直接関わりがない場合は、「消耗品費」として処理します。作業服の着用が売上に直接貢献していないため、売上原価としては計上できません。
ケース別|勘定科目の処理方法
作業着のクリーニング代と会社支給のスーツ代について、勘定科目の処理方法を紹介します。
【ケース1】作業着のクリーニング代
作業服のクリーニング代は、すべての従業員を対象にし、かつ適切な金額だった場合に限り、「福利厚生費」として処理できます。年に数回しかクリーニングしない場合は、「雑費」となるので注意しましょう。ちなみに、飲食店などのおしぼりやタオルは、顧客を対象とするため、「衛生費」に分類されます。
【ケース2】会社支給のスーツ代
会社支給のスーツ代は、プライベートでも使用できるため、「給与」として処理します。事業専用のスーツでない限り、売上に直接かかわる費用(福利厚生費)には該当しません。そのため、源泉所得税の徴収対象です。福利厚生費に分類したい場合は、スーツの胸ポケットに会社のロゴを入れるなど、事業以外で使えないようにする施策が必要です。
勘定科目の選び方のポイント
勘定科目は、選び方にいくつかポイントがあるので、詳しく紹介します。
課税対象か
作業服の勘定科目は、所得税の課税対象になるかどうかで選び方がかわり、どのように会計処理すべきかが決まります。課税対象かどうかを曖昧にし、自己判断で処理を間違えた場合、脱税とみなされるので注意しましょう。
毎年同じ科目を選んでいるか
毎年同じ科目を選ぶことで、昨年との比較ができ、経営判断もしやすくなります。また、科目が毎年異なると、キャッシュフローの把握が難しく、財務諸表の印象もよくありません。税務監査でいらぬ誤解を与えてしまう可能性があります。
「製造原価」を選べる業種か
「製造原価」を選べる業種であれば、作業服を福利厚生費として会計処理できます。なぜなら、製造原価に含まれる人件費に、福利厚生費が含まれているからです。
製造業や建築業など、作業服を製造原価として処理できる業種は、福利厚生費を用いましょう。消耗品費を使うと、売上に直結しない一般管理費との見分けがつかなくなり、経営分析がしにくくなります。
まとめ
作業服の勘定科目は、「福利厚生費」と「消耗品費」の2種類です。作業服が売上に直結する場合は福利厚生費、それ以外は消耗品費で処理しましょう。勘定科目を選ぶ際は、課税対象の有無や前年の科目名などを参考にしてください。
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